オーストラリアは、日本との協定に基づいてワーキングホリデー制度を提供しています。
ワーキングホリデーは、原則18〜30歳までの方が海外での生活を体験し、就労や語学学習に取り組める制度です。 一方で、ワーキングホリデーを利用して渡航したのに、現地で仕事が見つからないといったトラブルも報告されています。
この記事では、オーストラリアのワーキングホリデーで仕事が見つからない理由と、仕事を探す方法を紹介します。仕事探しのポイントや実際に就業できる職種も解説しています。
Contents
オーストラリアのワーホリで仕事が見つからない理由
オーストラリアのワーキングホリデーで仕事が見つからない理由は次のとおりです。
業務に必要なレベルの英語力がない
現地では英語によるコミュニケーションが求められます。語学力が十分ではない、またはほとんどない状態で渡航しても、コミュニケーションがうまくいかず、仕事を見つけるチャンスがなかなか訪れない可能性があります。
英語力が不足していると、「仕事はあるが流暢な人を募集しており応募できない」「応募したいがためらってしまう」「面接で何度も落ちてしまった」というように、仕事探しが難航しやすいのです。 現地に到着する前からコミュニケーション能力を磨いて語学力を養っておくことは、スムーズに仕事を見つけるうえで不可欠です。
仕事に役立つ資格・スキル・実務経験がない
職種によっては多忙で、一対一で丁寧に仕事を教える余裕がなく、指示を受けてすぐに働ける人材が求められることがあります。
そのため、語学力があっても仕事に役立つスキルや実務経験がなければ、即戦力とはならないため不採用になってしまうかもしれません。
職種によっては専門的な技術、指示を受けなくても自発的に動ける判断力が求められます。企業や団体は、英語が堪能で仕事のスキルがある応募者を優先して採用します。
普段からコミュニケーションが得意でフットワークが軽い人でも、肝心の就労に必要なスキルが不足していると、現地では採用を見送られてしまう可能性があるでしょう。
応募している求人の数が少ない
応募できる求人の数が少ない場合、採用される可能性も低くなります。
現地での就労は競争率が高いため、多くの応募の中から採用される可能性は低くなる傾向があります。 良さそうな2,3件のみに絞って応募をしたり、できそうな仕事から1件ずつ応募したりするやり方では採用に至らない場合、仕事に就く機会を逃してしまう可能性があります。
ワーホリは現地に滞在できる期間が決まっているため、できるかぎり早く就労を開始したいところです。そのためには、応募の数も2,3件ではなく可能な限り多く応募することで、採用の可能性を広げられるでしょう。
特定のスキルや資格を持っており応募したい職種がすでに決まっている方は、タイミングや期限をみて応募するようにしましょう。
渡航前に仕事探しの準備を始めていなかった
ワーキングホリデーでは、日本国内にいるときのようにその場で求人を決めて応募すると、思うように採用されずタイミングを逃すことがあります。
実際には渡航前から仕事探しのための下調べや準備を行い、留学エージェントに相談しておくことが大切です。
レジュメが作り込めていない
ワーホリでは、現地の雇用主に情報を提供するための英文レジュメを作成します。オーストラリアのワーホリでは、これまでに培った経験・職歴・資格(スキル)をどのように仕事へ活かせるかが重要です。
そのため、日本人が仕事を勝ち取るには丁寧な自己アピールが必須です。 日系企業に応募する場合は日本語の履歴書でも問題ありませんが、いずれも学歴・職歴のほか、強みやアピールポイントをわかりやすく記載しなければなりません。
オーストラリアを含む英語圏では、日本と履歴書の書式や慣例が大きく異なります。決まった書き方はありませんが、日本式と海外の方式は大きく異なるため、レジュメの書き方も前もって押さえておきましょう。
自分の語学力や職歴を適切にアピールするために、現地のレジュメの作り方を知ることから始めましょう。
オーストラリアのワーホリで仕事を探す方法
オーストラリアのワーホリで仕事を探す方法として、店舗などの就労先に出向いてレジュメを渡すか、求人情報を確認して連絡をとる方法があります。 仕事を探すための3つの方法を確認してみましょう。
直接店舗に出向いてレジュメを渡す
海外ではレジュメを直接渡すやり方は一般的です。日本のように郵送やメールに限られる心配はなく、多くの店舗でレジュメを受け取ってもらえます。
求人サイトの募集から直接応募する方法でも問題はありませんが、多忙な業種や企業からは返信が来ないことも。日本のように後から必ず連絡が来るとは限らないため、数をこなすためにも実店舗にレジュメを持ち込んでみると良いでしょう。
店舗へレジュメを提出すると、雇用者と対面し、職場の雰囲気を知る機会になります。応募者が直接やってくるため雇用者側としても対面のメリットが大きく、双方にとって効率的な就職活動といえるでしょう。
店舗や商業施設などの求人の貼り紙を確認
求人情報を探すときは、就労先・インターネットの両方で探しましょう。 出たばかりの求人は、インターネットの前に店舗などの前に張り出されることもあります。
ひとつでも多くの求人に応募するときは、貼り紙もこまめに確認したいところです。 滞在先の近隣で求人情報を探し、見つからない場合は郊外地域まで範囲を広げて探すのがおすすめです。
競争率の高い仕事ではなく、低めの仕事を探す方法もあります。すぐに見つからなくても諦めず、求人情報を確認しながら応募できる就労先を探してみてください。
ワーホリ滞在者向けの日本人センターの掲示板から探す
うまく仕事が見つけられないときは、日本人センターや日本人コミュニティの掲示板も役に立ちます。
日本人専用の掲示板にはさまざまな情報が掲載されており、日本語でチェックできるため、時間をかけずに必要な情報を得られます。日本人を積極的に受け入れている求人の情報は優先的に確認しましょう。
現地の友達や知人の紹介
現地に知人がいる場合は、知人の紹介や情報を有効に活用することがおすすめです。 求人情報が掲載されるよりも早くに仕事が決まったり、知人同士のコネクションで仕事を斡旋してもらえたりといったケースも期待できるかもしれません。
留学エージェント仕事探しサポートの利用
留学エージェントとは、留学をサポートする専門機関です。エージェントによっては現地での仕事探しに関して相談や問い合わせができるので、サポート内容を確認し、早めに相談しておきましょう。
オーストラリアのワーホリの仕事探しのポイント
オーストラリアのワーホリの仕事探しのポイントは、次の5つです。
- 英語力を上げる
- 自分の職歴に関連する仕事を探す
- 英語力があまり重視されない職種を探す
- 企業が提供する無給インターンから始める
- あきらめない
仕事を見つけるためにできること、探し方のポイントをみていきましょう。
英語力を上げる
職場では英語によるコミュニケーションが基本のため、一定の英語力を身につけたいところです。
TOEICやIELTSといったテストのスコアだけではなく、相手の話をよく聞き、自分の考えを伝える練習をしながら、積極的なコミュニケーションを心がけましょう。
自分の職歴に関連する仕事を探す
現場では、仕事に即応できる人材が重宝されます。不慣れな仕事やゼロからスタートするような仕事は避け、今までの実務経験・職歴に関連した仕事を探しましょう。
職種にもよりますが、一度経験した仕事であれば採用の可能性はまったくの未経験よりも高くなります。
英語力があまり重視されない職種を探す
英語力に不安がある方は、英語力をそれほど重視されない職種を探しましょう。
日本人観光客向けツアーガイドや日本食レストランのように、日本人または日本をよく知る人を対象とする仕事はプレッシャーが少なく、初めての海外生活にも向いたお仕事といえます。
企業が提供する無給インターンから始める
企業が提供するインターンシップから始めることもできます。特定の企業で一定期間働いて実務経験などのキャリアを積むことができる方式です。
インターンシップには無給と有給があります。将来的に企業に就職を考えるなら、無給から就労しキャリアを積み、ステップアップを目指してみてはいかがでしょうか。
あきらめない
たとえ希望した時期に仕事が見つからなくても、就職できないとあきらめないことが大切です。 自分だけで仕事を探すのが難しい場合は、留学エージェントや日本人コミュニティに相談すると良いでしょう。
現地にいる知人や新たに出会った仲間から情報やアドバイスを得ることができます。根気よく仕事探しを進めましょう。
オーストラリアのワーホリで求人を探す時の注意点
次に、オーストラリアのワーホリで求人を探す際に注意したいポイントをみていきましょう。
勤務地によって賃金が異なる
オーストラリアは勤務地によって賃金のレベルが異なります。日本と同じく、大都市の首都圏がもっとも賃金が高く、郊外になるほど賃金は低くなります。
たとえば、南オーストラリアのような地方では、首都圏と比べて週の収入が数百豪ドル低くなる傾向があります。現地でまとまった額を稼ぐ場合は、首都圏や大都市を中心に求人を探してみてください。
現地の就労についての法律・規則・制限の理解
ワーキングホリデー中の就労には、外国人労働者としての条件が課されます。そのため、現地の就労に関する法律・規則・制限を事前に理解しておかなければなりません。
外国人に発給されるビザにはいくつかの種類があり、学生ビザや観光ビザ、ワーキングホリデービザといった種類があります。取得するビザごとに就労時間の規制があり、雇用主の数も決まっています。 一般的に、ワーキングホリデービザでは1つ(同一)の雇用主の元で最大6ヶ月間のみ就労できます。
規則や制限についても同様に、現地のルールを遵守することが求められます。
キャリアにつながる仕事は英語ができないと就きにくい
インターンシップから入って現地の企業に雇い入れてもらう、あるいはセカンド・サードワーキングホリデービザを取得して働きキャリアを形成するような方法は、英語によるコミュニケーションが必須です。
英語力が不十分な場合、インターンシップのような体験的就労でも難易度が高いと感じられる可能性があります。英語力は最低限のスキルとして扱われるため、ワーキングホリデーに向かう前からしっかりと身につけておきましょう。
オーストラリアワーキングホリデーでできる仕事
オーストラリアのワーキングホリデーでできる仕事は次のような内容です。
- レストランの調理・皿洗い
- ハウスキーピング・クリーナー
- ベビーシッター
- ファームジョブ
- 工場での仕事
- 日本人向けツアーガイド
代表的な6つの職種について、詳しくみていきましょう。
レストランの調理・皿洗い
レストランの仕事のうち、調理(厨房)と皿洗いはワーキングホリデーで人気の職種です。 特に日本食(和食)レストランは日本人観光客への接客や日本食を日常的に扱うため、初めてワーキングホリデーに訪れた人が就労先に選ぶケースが多く見られます。
調理スタッフは、レストランで提供しているメニューの下ごしらえや調理を行います。日本食レストランでは寿司や刺身などを扱うため、専門的なスキルがあると重宝されます。
また、基本的な料理の技術や経験があると採用に有利です。 ウェイターやウェイトレスほど英語でのコミュニケーションが求められる心配はありませんが、厨房内やフロアスタッフとの意思疎通が必要なため、相応の英語力が求められます。
皿洗いスタッフは、食器やカトラリー類を洗う職種です。皿洗いの経験は基本的に不要ですが、慎重で真面目に仕事へ取り組む姿勢が求められます。
ハウスキーピング・クリーナー
ハウスキーピング・クリーナーは、施設に滞在しているゲストの部屋を清掃したり、チェックアウト後の部屋の清掃を担当する仕事です。
具体的には、ベッドメイキングや部屋の床・水回りの掃除、換気や消毒、ゴミ捨て、リネン類の交換などを行います。 現場では英語を使いますが、直接的なコミュニケーションがメインではないため、仕事で使う日常会話のみが必要です。長時間の残業は基本的に発生しないため、決まった時間に出勤・退勤できる点が大きなメリットです。
決められた時間内での清掃、重いものを持ち上げたり移動させたりする作業があるため、一定の体力が必要です。日本のハウスキーピングサービスとは異なり、仕事の進行状況によっては休憩がとりやすい点もこの仕事の長所です。
ベビーシッター
ベビーシッターは、家庭で子どものお世話やケアを行う仕事です。子どもの日常生活のケア・見守り・遊び相手になり、準備やサポート、保護者との連携によるサポートが含まれます。
家庭内での雇用契約となり、雇用主である保護者との契約内容をよく確認して、労働条件や報酬を取り決める必要があります。 具体的な仕事内容は、子どもの食事の準備と配膳、ミルクの準備や提供を行います。おむつ交換・トイレトレーニング・入浴サポート、昼寝や就寝のサポートもベビーシッターの仕事です。
契約内容にもよりますが、日中は子どもの見守りや遊びの相手をしたり、学習活動を通じて子どもの状況に合わせた対応を行います。子どもが昼寝などをしているときは片付けや清掃を行い、部屋を整理整頓します。
ファームジョブ
ファームジョブは、農業に関連する作業や農場内での手伝いが主な業務です。具体的な仕事内容は次のとおりです。
- 収穫作業:果物や野菜の収穫を手伝う仕事(包装作業を含む)
- 動物の世話:牛や羊、豚などの動物の世話(餌やり・水やり・搾乳)
- 清掃とメンテナンス:農場の清掃や道具のメンテナンス、畑の整備
- 植林作業:苗木の植え付けや植林地の管理
- 果樹の剪定:果樹の剪定や成型
農場で栽培する作物の見守りから収穫作業まで、農場主や他のワーカーと連携しながら基本的な作業を学びます。
工場での仕事
工場での仕事は、製品の製造から出荷後の在庫管理まで、各工程のいずれかを担当します。 具体的には、製品の組み立てを行う「生産ライン」、製品の品質をチェックして不良品を取り除く「品質管理」、製品を梱包して出荷の準備を行う「梱包・出荷」、原材料や製品の保管・在庫管理を行う「保管・在庫管理」です。
ワーキングホリデーの就労は、夜間や週末といった限定的な時間帯に限られる場合があります。また、特定の産業やエリアではワーキングホリデー中の工場労働が許可されないこともあります。
工場の仕事を探す場合は、労働市場や求人情報をよく確認し、自身のもつスキルや日中のスケジュールと都合がつけられるかどうかを確認しましょう。
日本人向けツアーガイド
日本人向けツアーガイドは、オーストラリアを訪れた日本人観光客にツアーを提供する仕事です。 具体的には、現地でのツアー全体を企画し、旅程を組み立てます。観光地と観光地までの交通手段を考慮し、宿泊施設や食事の手配を計画します。
観光地やその場所の文化、見どころについて説明するほか、安全指導や現地でのマナー・ルールの案内を行います。 ツアー中は日本語でガイドを行いますが、現地の人々や運転手との会話は英語で行うため、2ヶ国語をバランス良く使い分けなくてはなりません。
旅行に関連した情報だけを提供するわけではなく、おすすめスポットの紹介やショッピングエリアの説明、医療に関する情報提供・情報収集といった付帯的な業務も発生します。
万が一問題が発生した場合は、トラブルの内容に応じて適切な対応策を講じ、問題解決に努めます。 観光地によっては、日本人旅行者と現地住民との間の文化交流を促進する役割を果たすこともあります。
現地の文化や習慣についての説明を行い、相互理解を深める仕事です。 ツアーガイドは観光客の生活や旅程に細やかな配慮が求められる仕事です。観光業の経験や資格を持つ方に適しています。
仕事の給料の目安
オーストラリアのワーホリで得られる給料は、職種やエリア、仕事内容によって異なります。 法定最低時給は2024年7月1日時点で24.10豪ドル(税抜)です(※)。職種ごとの目安は次のとおりです。
- レストランやカフェのウェイター・ウェイトレス:約300〜500豪ドル
- 農業労働者:週に約300〜600豪ドル/週
- 観光業関連の仕事:週に約350〜700豪ドル/週
- ホテルの清掃・フロントスタッフ:週に約300〜500豪ドル/週
上記は目安であり、一例です。為替の変動状況や現地の雇用状況、仕事・作業の内容やエリアによって異なるほか、雇用主の意向や状況にもよります。 ワーキングホリデーの期間中に働く場合、労働時間や労働条件にも注意が必要です。
※参照元:Australia Government「Minimum wages」
ワーホリで仕事を見つけるためには事前準備が重要
今回は、オーストラリアのワーキングホリデー中に仕事が見つからない理由と、仕事を見つけるためのポイントや就労しやすい職種を紹介しました。
ワーキングホリデーは現地の人々や文化に触れる貴重な機会です。どの環境でも基本的に英語が求められるため、渡航前に英語力を磨き、渡航後も継続して学ぶことで、実践的な英語を身につけることがスキルアップに繋がります。
ラストリゾートでは、現地の雇用に関する情報提供やアドバイスを行っています。実績のあるエージェントに早めに相談し、レジュメの添削や仕事探しのサポートを受けることをおすすめします。